読者が「自分と似ている」と共感できるキャラをつくる方法

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漫画やラノベには「感情移入できるキャラをつくるべし」という鉄則があります。

この鉄則には科学的な根拠もあり、たとえばノースウェスタン大学がエンタメ好きを対象におこなった研究[1]では、多くのユーザーは「自分と似ているキャラクターを好きになる」傾向があったそうな。

よって感情移入できるキャラクターをつくるには「読者とキャラクターの共通点」を開示していくのがベストでしょう。

では、読者はキャラクターとどんな共通点があれば「自分と似ている」と感じるのでしょうか。名著「最高の体調」で紹介されていた10の項目が参考になりそうなので参照しましょう。

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共通点が生まれやすい話題10選

共通点をきっかけに親近感や好感を感じる現象は、心理学ではセルフディスクロージャーと呼ばれています。

馴染みがある言葉にすると「自己開示」ですね。初対面の人との会話が「地元が同じ」「趣味や部活が同じ」という共通点で盛り上がる、あれです。

社会心理学者ゲイリー・ウッドは、セルフディスクロージャーのパターンを分析し「親近感が湧きやすい話題10選」を導き出しました。

  1. お金、健康の心配事
  2. イライラした体験
  3. 幸福を感じる体験
  4. 改善したいこと
  5. 夢や目標、野望
  6. ユーモアを交えた性的な話題
  7. 自分の弱点やマイナス面
  8. 自分がどうしても許せないこと
  9. 趣味や興味
  10. 恥ずかしかった体験や、罪悪感を覚えた体験

これらの話題で親近感が芽生える理由は「価値観・アイデンティティ」の一致が生まれるからだそうな。もちろん年代や性格によって抱えてる悩みは違うと思うので傾、ターゲットリサーチは必須といえましょう。

1つずつ詳しく考察していきます。

1-1 お金、健康の心配事

お金や健康の心配は、誰もが抱くことなので一致しやすいそうです。

ただ前述したように、金銭感覚や健康意識は人によって違うので、ターゲットとなる読者の年齢層に合わせたほうがよさそうですね。

たとえば一般的な金銭感覚の大学生がターゲットなら「ラーメン屋でタマゴをトッピングするか悩んで食券機に渋滞をつくってるキャラ」ぐらいが、ちょうどいいのではないでしょうか。

1-2 イライラした体験

ついイラっとしてしまう出来事を共感できると親密になりやすいそうです。

たとえば「挨拶をシカトされてムカついた」「話してる最中にスマホ触られて悲しく感じた」みたいに、そこまで深いイライラではないけど「わかる」と納得できるレベルの話題ですね。

1-3 幸福を感じる体験

幸福を感じるおこないが一致すると親近感が湧きやすいそうです。

ベタなところだと「甘いモノを食べているときが幸せ」「お風呂でリラックスするのが唯一の救い」「気の合う友人と過ごす時間が一番楽しい」みたいなかんじでしょうか。

1-4 改善したいこと

「悩みの改善のために取り組んでいること」も親近感が湧く話題の一つ。

たとえば「最近太ったことを彼氏・彼女に指摘されたからダイエットしている」「なにをやっても三日坊主だから読書して習慣化を学んでいる」など。

1-5 夢や目標、野望

将来の展望は誰しも描くことなので共感を得やすいそうです。

「世界平和を実現する」「世界最強になる」みたいに壮大すぎる目標は共感されにくいと思うので、その場合は「世界平和を実現した結果、愛する人と結婚する」「世界最強になった結果、家族を幸せにする」みたいに等身大の夢まで落とし込むといいかもしれません。

1-6 ユーモアを交えた性的な話題

「性的な趣向(フェチ)の一致」は最大の共感ポイントでしょう。

たとえば自分好みの女の子が表紙に描かれてるだけで衝動買いする読者もいますからね(私です、はい)イラストレーターの西沢5ミリさんも「フェチを全開にすれば自ずと共感される」みたいなことをおっしゃっていました。

ただし「ユーモアを交える」のがポイントなのでご注意されたし。

とくに女性や若年層がターゲットの場合、どぎつい下ネタは敬遠される傾向にありますからね。

1-7 弱点やマイナス面

悩みや弱点を打ち明けると親近感が増すそうです。

弱みや失敗を開示すると親近感が増すという効果はマンハイム大学の研究[2]でも確認されています。キャラクターの「弱み」「失敗エピソード」は冒頭でしっかり見せたほうがよさそうですね。

ただ「有能そうな人物の弱みは好感度が上がるが、無能そうな人物の弱みは嫌悪感を生む」というバイアスもあるのでご注意あれ。

詳しくは「共感できるキャラをつくる「弱点の設定」の正しい使い方」をご参照ください。

共感できるキャラをつくる「弱点の設定」の正しい使い方
共感できるキャラをつくる「弱点の設定」の正しい使い方

「好かれるキャラをつくりたければ欠点を与えよ」という定説がありますが、シチュエーションを間違えると逆効果になることもあるんだそうな。てことで今回は「共感できるキャラをつくる弱点設定の正しい使い方」を考察します。

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1-8 自分がどうしても許せないこと

怒りの価値観を共有すると、親密度が爆上がりするそうです。

1-2 イライラした体験」が日常的なイライラだったのに対し「どうしても許せないこと」は絶対に許容できない怒りを指します。少年漫画でいえば、主人公が敵に「お前だけは絶対に許さん!」というセリフを吐くキッカケになるような出来事のことですね。

漫画やラノベでよくある感じだと「人を人と思わない外道なおこない」「浮気・不倫」「近しい人を傷つけられる」などでしょうか。

1-9 趣味や興味

趣味や関心が一致すると親近感が増すのはご周知のとおりです。

たとえば「え?あなたもラブライバー!?」みたいな事実が発覚すると仲良くなりやすいのと同じことは次元でもありえるのでは?と考察できるわけですな。

趣味や興味が思いつかない場合は「創作類語辞典」などを参考にしてみるといいかもしれません。

1-10 恥ずかしかった体験や、罪悪感を覚えた体験

完璧超人の覆面がとれると親密度が増すことがわかっています。

1-7 弱点やマイナス面」との使い分けがむずかしそうですが、ドラえもんを参考にするといいかもしれません。

  • 1-7 弱点:ネズミを見るとパニックになる
  • 1-10 恥ずかしかった体験:ネズミに耳をかじられてつるっパゲになった姿を彼女に爆笑された

そういや以前YouTubeで質疑応答企画をしたとき、視聴者さんに「恥ずかしかった体験は?」と聞かれました。

パっと思いついたのが「HUNTER×HUNTERのヒソカのことをずっとヒカソと読み間違えていて、好きな女の子の前で友人に間違いを指摘されたこと」だったんですが、どうでしょう、親近感増しましたかね(あぁ、そう)

以上です。

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