共感できるキャラをつくる「弱点の設定」の正しい使い方

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「好かれるキャラをつくりたければ欠点を与えよ」という定説があります。

たとえばドラえもんはネズミが嫌い、ルフィが水が苦手みたいな弱点があるほうが、読者は感情移入しすいのでは?という説ですね。

結論から言うと「弱みをさらけ出している人物は好感度が上がる」というデータ[1]は存在しますが、以前書いた「SAVE THE CATの法則は使い方を間違えると使えない」と同じように、シチュエーションを間違えると逆効果になることも判明しているそうです。

主人公の好感度を爆上げする「SAVE THE CATの法則」の正しい使い方
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脚本家にはお馴染みの「セーブ・ザ・キャットの法則」というテクニックがあるんですよ。 ざっくり言うと「ヤクザ者でも、ネコを助けるエピソードを見せれば好感度が上がる」心理のことで、たとえばディズニー映画「アラジン」の冒頭で、 […]

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てことで今回は「共感できるキャラをつくる弱点設定の正しい使い方」を考察します。

1 「失敗のエピソード」は好感度を高める

マンハイム大学の研究によると[1]「失敗のエピソードの開示は好感度を上げる」ことがわかっています。

「弱点」ではなく「失敗のエピソード」というのがポイントで、たとえばワンピースのルフィなら「水が苦手」という弱点ではなく「自分が感情的になったせいでシャンクスが腕を失った」のような失敗エピソードのほうが好感度が上がるわけですね。

なので「人付き合いが苦手」みたいな弱点属性を与えるだけではなく、その弱点から派生した失敗エピソードも見せたほうが好感度が高まるかもしれません。

1-1 「失敗のエピソード」の正しい使い方

「失敗のエピソード」で逆に好感度が下がる[2]こともあるので注意しましょう。

これは心理学でプラットフォール効果と呼ばれる現象で具体的には以下のようなかんじです。

  • 元々有能だと思われていた人の「失敗」は好意的に見られる
  • 元々無能だと思われていた人の「失敗」は嫌悪感を生みやすい

ざっくり言うと、出木杉くんが失敗すると好感度が上がるけど、のび太が失敗すると嫌悪感が増す、みたいなかんじっすね。

フィクションの世界といえどユーザーは「無能な人物」にとことん厳しいので、無能なキャラは失敗の上塗りをするより、弱点を克服しようと頑張る姿や、「SAVE THE CATの法則」で好感度を上げたほうがよさそうです。

2 「共感できる欠点」も好感度を高める

「読者が体験したことがある悩みや欠点」を抱えているキャラは好感度が上がることがわかっています。

そりゃあ、自分と同じようなことで悩んでる人がいれば共感してしまうのが人情ってものでしょう。どんな悩みが共感されやすいかは「感情移入できるキャラをつくる自己開示の科学」をご参照ください。

読者が「自分と似ている」と共感できるキャラをつくる方法
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2-1 「欠点が間接自慢」になると嫌われる

周囲が羨んでいる特徴を「欠点だ」と主張すると間接自慢にうけとられるかもしれません。

たとえばギャグ漫画などで巨乳キャラが「この胸で苦労ばかりで嫌だ」と発言したのに対し貧乳キャラが「それ嫌味か?」と返すシーンがありますが、読者が貧乳キャラのほうに共感して「それ間接自慢じゃね?」と感じてしまうと好感度が下がるわけですな。

3 「共感できる悪役」も好感度が上がる

余談ですが「読者は自分と価値観が合う悪役を好きになりやすい」[3]こともわかっています。

悪役にカリスマ的な魅力を備えたいときは、読者が抱えているであろうダークパーソナリティーに突き刺さるような価値観を演出するといいかもしれません。

以上です。

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