初心者向け「プロットの書き方入門」ラノベ・ゲームなど

ラノベ、漫画、ゲームなど自分で考えた物語を手軽に発表できるようになった昨今です。

当ブログをご覧の方々の中には、実際に物語をネットで公開している方も多いのではないかと。

で、物語を書く者に必須のスキルといえば「プロットを書くスキル」でしょう。

プロットを書くスキルがあれば、以下のようなことが期待できます。

  • 矛盾が少なく、伏線の筋が通った物語が書ける
  • 執筆のスピードがアップする
  • 途中で展開を変更したくなっても柔軟に対応できる
  • 仕事の場合クライアントとのやり取りがスムーズになる

とはいえプロットは「知ってるつもり」でスルーしやすいスキル。

私も長いこと「プロット?知ってる知ってる」と知ったかぶりをしてまして、いざ初めてシナリオの仕事を受注したとき慌てて「プロットの書き方」と検索したのを覚えています。

今回は、プロットの知識に自信がない初心者向けに「プロットの書き方」を考察します。

「そういえばプロットのことよくわからないや」という方は参考程度に。

1 プロットとは

プロットとは「物語の流れを数行でまとめた要約」のことです。

具体的には、以下のように「出来事」を簡潔に箇条書きします。

  1. 平和な村で暮らす勇者(16歳)
  2. 村を魔物が襲撃し幼馴染の少女がさらわれてしまう
  3. 友人の魔法使いAと共に、少女を助ける旅に出る
  4. 以下色んな展開を(10~12行)用意する

言わば物語のレシピみたいなもので、アイデアや登場人物という材料を投下する順番を決めるわけですな。

レシピを無視して材料を鍋にぶっ込んでも美味しい料理はつくれないように、伏線やアイデアなど魅力的な材料を活かすにはプロットを練る技術が欠かせません。

でもまぁ、むずかしく考えず「好きな映画のストーリーを友達に話すときのように短くまとめるようなもん」と考えていただければと思います。

1-1 プロットを用意する理由

プロットの用途は主に以下2つです。

  1. 作家が物語の全体像を把握するため
  2. 第三者に手短に物語を説明するため

1は作家が物語の構成を行うときに利用し、2はお仕事でクライアントに企画をプレゼンするときなどに利用します。

1-2 プロットにはどんなことを書くのか

プロットには、以下のようなことを短くまとめます。

  • どんなシーンを、どんな順番で描く?
  • どんなキャラクターを、どこで登場させる?
  • どんな伏線を、どこに忍ばせておく?
  • 物語の魅力を20~30文字でまとめると?

「どこで誰が仲間になるか」「出来事が起きた経緯」「伏線を忍ばせる場所」などをメモするイメージですな。

1-3 プロットは何行でまとめればいいのか

プロットは以下3パターンでまとめることが多いです(絶対ではありませんが)

  • 1行(20~30文字)でのまとめ
  • 3行のまとめ
  • 10~12行のまとめ

この3パターンでまとめることができれば、ほとんどのクライアントからの要望に応えることができます。

20~30文字でのまとめ(ログライン)とは

20~30文字のまとめは、物語の内容を1行で伝えたいときに用います。

たとえば「ブログの記事タイトル」「YouTubeの動画タイトル」をイメージしてもらえば分かりやすいのではないかと。ちなみに映画脚本の世界では「ログライン」と呼ばれたりします。

たとえば、童話「桃太郎」を20~30文字でまとめると以下のようなかんじですね。

  • 桃から生まれた桃太郎が仲間と共に鬼退治を目指す冒険物語

もちろん、これではパンチが弱いので、もうちょっと捻りを加えたりするのが理想です。

ちなみに文字数が20~30文字な理由は「検索エンジンやYouTube動画はMax30文字しか文字が表示されない」ことに由来します。

ネットでコンテンツ発信するのが一般的になった現代ならではのセオリーなわけですな。

ログラインの詳しい書き方は「ログラインの書き方入門」をご参照ください。

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3行のまとめとは

3行まとめは物語を「①始まり」「②中盤」「③終わり」の3つで解説するときに用います。

これは脚本術で「三幕構成」と呼ばれるまとめ方で、日本で有名な起承転結と非常に近い考え方です。

たとえば「桃太郎」なら以下のような三幕構成で分割します。

  1. 【始まり】桃から生まれた桃太郎は鬼退治の旅に出る
  2. 【中盤】仲間を集め、幾多の困難を乗り越え成長していく
  3. 【終わり】鬼を倒し平和をもたらした桃太郎は村の伝説となる

三幕構成は「ストーリーのつくり方」で詳しく解説してるので興味があればご参照ください。

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10~12行のまとめとは

10~12行のまとめは三幕構成をさらに細かく分割したものです。

たとえば「桃太郎」なら以下のように分割します。

  1. 昔の日本。仲の良いおじいさんとおばあさんが暮らしていた。
  2. おばあさんが川で大きな桃を発見し家に持ち帰る。切ると中から男の子が誕生。
  3. 男の子は「桃太郎」と名づけられ、すくすく成長。
  4. 悪い鬼の噂を聞き、桃太郎は鬼退治の冒険を決意。
  5. おばあさんにキビダンコを貰い、旅立つ桃太郎。
  6. 道中、出会った犬をキビダンゴで餌付けし味方にする。
  7. キビダンゴで猿を味方にする。
  8. キビダンゴでキジを味方にする。
  9. 鬼ヶ島に乗り込み鬼と闘う桃太郎。
  10. 鬼を倒し、宝を持って帰還する桃太郎。

余談ですが、シナリオのお仕事でクライアントに「プロットを提出してください」と言われたときは「ログライン」「10~12行のまとめ」の提出のことを指すことが多いです。

2 プロットの書き方

続いて、プロットの具体的な書き方をご紹介します。

…と言っても明確なルールがあるわけではないので、あくまで私の書き方や、参考文献で紹介されている技法の紹介であることをご了承ください。

2-1 プロットを書く順番

多くの参考書ではプロットを書く順番を以下のように指南していることが多いです。

  1. ログラインを書く(20~30文字でコンセプトを練る)
  2. ログラインを三幕構成に広げる
  3. 三幕構成を10~12行のプロットに広げる

まずは「①面白いコンセプト」を考えて「②全体像をざっくり決めて」「③より詳細な展開を考える」という具合ですな。

というのも、コンセプトの段階で面白くないと、その後プロットを書き進めても「やっぱつまらないからボツ」となってしまうことが多いんですよ。

何を作るか決めずに材料を買うより、作る料理を決めてから材料を買ったほうがいいのと同じです。

2-2 プロットは「型」に当てはめて書く

ではいよいよ、プロットにどんなことを書けばいいかについて解説します。

結論から言うと、プロットの構成には「型」があるので「型」どおりに展開を当てはめていくのがセオリーです。

音楽のコード進行に型があるように、ストーリーにも時代や国籍を超えて好まれる「型」があることが判明しています。

「プロットを書く」という作業は、物語をイチから考えることではなく、「型」という大枠に「展開」をはめ込んでいくパズルのような作業に他なりません。

中でも前述した「ストーリーのつくり方」で紹介した「ヒーローズジャーニー理論」は、映画、ゲーム、小説のあらゆるヒット作で使われている有名な型の一つです。

2-3 ヒーローズジャーニー理論

一例として、前述したヒーローズジャーニー理論を私なりに解釈した12幕構成をご紹介します。

  1. 日常:主人公の平凡な日常の描写
  2. 事件:日常を切り裂く事件が起きてしまう
  3. 決意:事件のせいで主人公は問題解決を迫られる
  4. 困難:試行錯誤するが問題解決が進まない
  5. 導き:問題解決を手助けしてくれる賢者や仲間が現れる
  6. ニセの解決策:主人公は誤った問題解決策を試す
  7. ニセの勝利:誤った解決策でニセの勝利が訪れる
  8. 崩壊:誤った解決策のせいでニセの勝利から転落する
  9. 気づき:主人公は本当に大切な解決策に気づく
  10. 再挑戦:本当の解決策で困難と対峙する
  11. 勝利:これまで得たもの(仲間や解決策)のおかげで勝利
  12. ヒーローの期間:主人公の日常が「1」より幸福になる

たとえば、ディズニー・ピクサーのプロットの多くはこのようなプロットが使われているので、映画を見ながらこの12の展開を探してみると面白いかもしれません。分かりやすくておすすめなのは「アラジン」「シュガーラッシュ」ですね。

各項目の詳しい解説は「ストーリーのつくり方」をご参照くださいませ。

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ヒーローズジャーニー理論の他にも「ホラーの型」「冒険活劇の型」「バッドエンドの型」など様々な型が発見されているので、基本的にその型どおりに展開を当てはめていけば大外れはないのではないかと。

型の種類について詳しく説明すると本が数冊できる分量になってしまうので割愛しますが、上述した「ストーリーのつくり方」や「売れる映画シナリオの法則」を参考程度にご活用くださいませ。

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文末に「プロットの書き方が学べる本3選」も紹介しているので、興味があればそちらも参考程度に。

2-3 登場人物の書き方

プロットを書く際は「登場人物のプロフィール表」も用意しておくことをおすすめします。

登場人物の資料が手元にあった方がプロットのアイデアが膨らみやすいのはもちろん、もしシナリオのお仕事を受注するなら登場人物のプロフィールを2~3名用意することで、クライアントに物語を伝えやすくなるのではないかと。

登場人物のプロフィール表のつくり方は以前「創作キャラのプロフィール表を心理学的につくる方法」でまとめてるので、興味があればご一読くださいませ。

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仕事の場合、どの程度詳細なプロフィール表を作るかはクライアントの指示に従えばOKです。

フリーランスの仕事なら「年齢」「職業」「物語上のポジション」程度でいいのではないかと。

3 プロットを書く練習法

最後に、私がよくおこなうプロット練習法をご紹介します。

前述した「プロットの書き方が学べる本3選」などを参考に、色んなプロットの型を勉強しつつ、平行しておこなっていただくと効果を感じやすいかもしれません。

※ちなみに名称は私が勝手につけたものなので悪しからず。

3-1 プロット分析法

プロット分析法はその名のとおり「映画やゲームのプロットを分析する」練習法です。

やり方は簡単、以下のような手順で好きな映画やゲームを見ればOK。

  1. 「型A」を勉強して覚える
  2. 「型A]を使ってそうな映画やゲームを見る
  3. 「型A」のどの部分がどのシーンか分析する

「型A=ヒーローズジャーニー」と仮定して例を出しましょう。

ヒーローズジャーニー理論を頭に入れたうえで映画を観ると「この映画はヒーローズジャーニー理論が使われているな」ということが途中(もしくは冒頭)で分かるようになってきます。

あとは、型のどの部分がどんなシーンで描かれてるかを気にしながら映画を観て分析します。

たとえばピクサーの名作「シュガー・ラッシュ」なら以下のようなかんじですね。

  • ニセの解決策:盗んだメダルでヒーローになろうとすること
  • 崩壊:ヴァネロペのカートを破壊し、関係に亀裂が入る
  • ヒーローの期間:いつも通り悪役として働くラルフ、だがその顔は晴れやか

このように「このシーンは●●のパートだな」という目線でプロットを分析する能力が磨かれるわけですな。

3-2 構成コピー練習法

構成コピー練習法は「見た(読んだ)物語の構成をプロットに書きおこす」練習法です。

音楽で例えるなら、耳コピした曲を譜面に書きおこすみたいなかんじですね。具体的には以下のようにおこないます。

  1. 映画や小説を1本見るor読む
  2. 展開を抽象的に箇条書きする(※)
  3. 1~2を同ジャンルの作品複数本で繰り返し法則を探す

※「展開を抽象的に箇条書きする」とは、出来事の大きな枠を捉えることを指します。

  • NG:面倒な隣人が越してきたことで主人公の生活がストレスフルになる
  • OK:敵がもたらすトラブルで主人公が日常が脅かされる

前者はシチュエーションが限定的なので型として利用しにくいですが、後者は「敵」「トラブル」「主人公の日常」を変えれば色んなストーリーを作ることができますな。

構成コピー法を身につけるメリットは「●●のような構成でシナリオを書いてください」という依頼に対応しやすくなることです。

たとえば、YouTubeでおなじみの「スカッと系漫画動画」のシナリオを受注するなら、スカッと系動画の構成パターンを構成コピー法で分析。特定の構成パターンを発見したら、そのとおりにプロットを書くことで安定した納品が可能になるわけです。

 

4 プロットを書くスキルが身につく本3選

おすすめ本

恒例の「一歩先をゆくスキルが身につく3冊」紹介コーナーです。

今回はプロット作りのスキルが身につく本を3冊ピックアップしました。

4-1 物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

ベタですが、物語を創作するなら是非読んでおきたい一冊といえば「物語の法則」でしょう。

今回ご紹介した「ヒーローズジャーニー理論」や、その他のプロットについても詳しく書かれています。

この本を読んだあとに映画を観てみると「お、あの型だな」と分かるようになって楽しいですよ。

4-2 まんがでわかる物語の学校

「読書慣れしてないから、もっとサクっと読める本がいいなぁ」という場合は「まんがでわかる物語の学校」がおすすめ。

前述した書籍「物語の法則」を、よりわかりやすく漫画化したような内容となっております。

4-3 どんなストーリーでも書けてしまう本 すべてのエンターテインメントの基礎になる創作システム

よりポップで読みやすい本がいいなら「どんなストーリーでも書けてしまう本」がおすすめです。

著者の語り口調に好き嫌いはありそうですが、文字も大きくページ数も少ないのでサクっとプロットの型を参照できます。