諌山創先生に学ぶ「キャラ創作は過去のヒットキャラに学べ」という説

「読者に愛される人気キャラをつくりたい」てのは創作家共通の悩みでしょう。

そんなこんなで「キャラクターづくりの教科書」も増えてる昨今ですが

「進撃の巨人」の諌山創先生が、同作の人気キャラ、ミカサやリヴァイは「読者ウケを狙って創作した」と公言していた対談インタビュー[1]が面白かったです。

具体的には、自分のターゲットが過去に熱狂したキャラを分析して類似点を取り入れたそうな。

てことで今回は、その創作法の汎用性を裏づける研究データがないか調べてみました。興味があれば参考程度に。

1 リヴァイ兵長は「腐女子が過去に熱狂したキャラ」の分析から生まれた

今回は、進撃の巨人の作者、諌山創先生と、精神科医齋藤環先生の対談[1]を参考に考察してみましょう。

で、ざっくり言うと諌山先生が述べていたのは以下のようなこと。

  • ミカサやリヴァイは過去のヒットキャラの類似点を分析してつくった
  • 具体的には、ターゲット読者が過去に熱狂したキャラ(エヴァの綾波レイ、幽遊白書の飛影など)を意識した。ミカサの名前が戦艦名なのもそこに由来する
  • いわゆる「萌え」の方向には走らず、地獄先生ぬ~べ~など過去に影響を受けたホラー漫画のテイストを残した

「ターゲットが過去に熱狂したキャラ」を分析したのがポイントかもしれませんな。

具体的には、二次創作を盛り上げてくれそうないわゆる腐女子(男子)に好かれそうな要素を分析したそうです。だから幽遊白書の飛影、なるほど。

ほんでもって、こういった創作法の汎用性を裏づけるデータはあるかなーと調べてみたところ、どうやら「アナロジー思考」という思考術が近くて希望が持てるかもしれません。

1-1 キャラ創作に役立ちそうな思考法それは「アナロジー思考」

アナロジー思考は、ケプラーが遠心力を発見したときに用いたことが有名な思考術。

ざっくり言うと「異なっている事柄の類似点を探す」思考法のことで、漫画などの創作においては「過去のあらゆるジャンルのヒット作に共通している事柄はないか?」と分析するみたいな感じですね。

「人間の未来予測の制度はチンパンジーと同レベル」というデータ[2]は有名ですが、アナロジー思考を使えば「ヒットコンテンツの予測精度を上げることができるっぽいぞ」という研究[3]もあったりするので意外と希望が持てるのかもしれません。

2 アナロジー思考で「映画の興行収入」も予測できる

アナロジー思考で「映画の興行収入をかなり正確に予測できる」[3]というデータがあったので紹介します。

つまり、過去にヒットした事例を分析すれば未来のヒット作の予想精度が上がるわけですね。

2-1 映画の興行収入を予測する実験

この研究のデザインは以下のとおりです。

  1. 数100人の映画ファンを集める
  2. これから公開される映画の基本情報を提供(主演俳優、宣伝ポスター、あらすじなど)
  3. 過去に公開された映画の基本情報を提供(主演俳優、宣伝ポスター、あらすじ、興行収入など)
  4. これから公開される映画の興行収入を、過去に公開された映画のデータをもとに予想してもらう

「これから公開される映画」と「過去にヒットした映画」の類似点から、興行収入を予測できるか調べたわけですな。

ちなみに被験者はただの映画ファン(一般人)なので、いわゆる業界人ではありません。

2-2 実験の結果 アナロジー思考の予測力は数学モデルを上回った

  • 結果、19本のうち15本はかなり正確な予測ができた(ほとんど差異4%未満)

この結果は、より詳細なデータで計算した数学モデルを上回る結果だったそうな。すげーっすね。

ちなみに、これをアルゴリズム化して成功したのが「ネットフリックス」や「YouTube」の「あなたへのおすすめ」です[2]

2-3 注意点 サンプル数が少ないと意味がない

ただこの実験ではアナロジー思考の注意点も指摘されています。

それは以下のとおり。

  • 好きな映画を1本のデータだけで判断しても正確性に欠ける
  • 複数のデータの類似点を見つけることに意味がある

ようするに「サンプル数が少ないのは、データではなく個人の感想だよね」ということ。

一つの結果だけで結論を急ぐと、木を見て森を見ずになる可能性が高いので、色んな事例を参考にしたほうがいいわけですな。

2-4 「異なるジャンル」での類似点を探す

もう1つポイントとなるのは「一件異なる分野との共通点を探す」ことです。

たとえば漫画を分析したいなら、過去のヒット漫画を分析するだけではなく

  • ヒットした小説との類似点は?
  • ヒットした音楽との類似点は?
  • ヒットした食品との類似点は?

みたいに、色んな分野との共通点を分析したほうが先入観に囚われにくく、斬新なアイデアが生まれやすいみたい。

藤子・F・不二雄先生が言うところの「異なるジャンルのアイデアをつなげる」わけですな。

詳しくは「「藤子・F・不二雄の発想術」に学ぶ面白いアイデアの出し方」をどうぞ。

3 まとめ

以上、アナロジー思考を創作に活かせるかの考察でした。

もちろん、今回参照した対談から分かる情報だけで「アナロジー思考は読者にウケるキャラの創作に役立つ」と断言はできないものの、諌山先生のように

  • 自分が起こしたい現象と似たような事例が過去に起きてないか調べて類似点を探す

という分析は、創作だけでなくビジネスなどあらゆる場面で役立つかもしれません。

以上です。