1カ月で上手くなる!科学的に正しいイラスト上達の心得5選

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「絵は描けば描くほど上手くなるからガンガン描け!」というアドバイスをよく耳にします。

ただ、この説は「かなり怪しい」てのが上達心理学の見解でして「間違った練習法はやればやるほど技術が下がっちゃうぞ」と指摘されてる[1]んですよ。

超ざっくり説明すると以下のような理由です。

  1. リフティングが上手くなってもサッカーの試合で活躍はできない…ように、見当違いの練習法はいくら積んでも本質的な意味を成さない
  2. まったく負荷がないダンベルで筋トレしても筋肉は成長しない…ように、上達に合わせて負荷を変えないとスキルは伸びない

では具体的にどんな練習法をすれば上達しやすいのか?

今回は上達研究の権威アンダース・エリクソンの研究[1][2]などをベースに「科学的に正しい(と思われる)イラスト練習法5選」を考察します。

ちなみに私が以前「お絵かき講座パルミー」を1カ月実験したときも、今回紹介する練習法を用いました。以下が「ビフォア→アフター」ですが、1カ月の練習にしては結構上達してるように見えるのではないかと。

なお、参考文献は文末「6 一歩先を行く『練習法』が学べる本3冊」にまとめます。気になる方は個別に買って読んでみてください。

1 練習時間は1日20分以内からスタート

上達研究では「初心者は練習量を1日20分以下に抑えろ」という考えが定説となっています。

理由は、それ以上の練習を続けようと思うと数週間~2カ月以内にストレスでメンタルをやられてしまうから。

ただでさえ現代人はまとまった時間を確保するのが難しくなっています。たとえば「1日30分でも勉強や運動をした方がいいのはわかってるけど…つい先延ばししてしまう」という方も多いのではないでしょうか。

それなのに「1日3時間やるぞ」などと無理な目標を立ててしまうのは、5キロのダンベルも持ち上げられない人が無理して20キロのダンベルを持ち上げようとするようなもんです。

数回は持ち上がったとしても、すぐに疲れてしまうのは想像に容易いでしょう。

てことで練習はまず1日15分程度からスタート。時間を伸ばしたいなら「1日15分」を2カ月続けられたらにしましょう。

2 時間内に何をどう学ぶのか明確にする

1回の練習量を15分に定めたら「15分で何をどう学ぶのか」を明確にしましょう。

当たり前では?と思われがちですが案外みんなこれを忘れがち。私もついつい何も考えずに適当にペンを走らせてしまうことがしばしばです。

「練習」は、課題を設定して問題点を克服するために行わなくては上達に繋がりません。

たとえば「目の描き方を練習するぞ」のようにザックリした目標ではなく

「女の子の目のハイライトの反射を上手に表現するのが苦手だから練習をしよう」てな感じで「何を→どのように」という所まで意識して練習するとナイスです。ちなみにこれを「意識的練習」といいます。

3 上手くできたこと、失敗したことを記録し分析する

意識的学習では「上手くできたこと」「失敗したこと」を記録し分析することもおこないます。

たとえば先ほどの「女の子の目のハイライトを練習する」という場合は

  1. 目的を意識して絵を描いてみる
  2. 上手く描けた箇所があるなら「なぜ上手く描けてるのか」分析する
  3. 上手く描けなかった箇所があるなら「なぜ上手くいかなかったのか」分析する
  4. 分析できない場合は参考資料と見比べてみる

同じミスを繰り返さないようにするには記録と分析が不可欠なわけですな。

ちなみに、参考資料を見ても「どこが間違ってるか」を自力で発見するのはかなりむずかしいので、その場合は「5 優秀な指導者からフィードバックをもらう」を活用するのが吉です。

4 一度に複数のスキルを同時に勉強する

1回の練習では「1つのスキル」だけ学ぶより「2~3つのスキル」を交ぜて学習したほうが上達しやすい[3]と言われています。

これは心理学で「インターリービング学習」と呼ばれる練習法で、たとえば野球の投球練習なら以下のような感じ。

  • NG:ストレートのみを練習する
  • OK:ストレート→カーブ→スライダーのように少しずつ異なる技術を練習する

イラストに応用するなら例えば

  • 「線画のみ練習」ではなく「ラフ画→線画→カラー」を描く
  • 「人物のみ練習」ではなく「人物→小物→背景」を描く
  • 「美少女」だけでなく「美少女→おじさん→動物」など色々描く

みたいな感じですな。

ただでさえ短い練習時間なのに労力を分散させたら非効率なのでは?と思われがちですが、インターリービング学習の優位性を示すデータは結構多く[3][4]、学習効率が2~3倍にアップすると言われています。

てことで一応試しにやってみる価値はあるのではないかと。

5 優秀な指導者から常にフィードバックをもらう

上達に最も欠かせないことといえば「優秀な指導者からのフィードバック」でしょう。

前述したように意識的な練習には「正しいことと間違ってることの分析」が不可欠ですが、人の脳は自分を客観的に見るのが苦手なので、自力で間違いを分析するのはかなりむずかしいです。

そこで古今東西用いられているのが「指導者によるフィードバッグ」というわけですな。イラストで言うなら「添削サービス」などです。

まぁ優れた添削サービスは有料なのが当たり前なので予算が必要にはなりますが、それに見合う成果は期待できるのではないかと。

自分は利用したことありませんが「お絵描き講座パルミー」や、ヒロマサのお絵かき講座のヒロマサさんのpixivFANBOXなどでイラスト添削サービスが行われているので、興味あればご参照くださいませ。

6 一歩先を行く『上達法』が学べる本3冊

恒例の一歩先をゆくスキルが身につくオススメ本紹介コーナーです。

今回は「効率的な上達法」が学べる本を3つピックアップしました。

6-1 習得への情熱 チェスから武術へ――上達するための、私の意識的学習法

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習得への情熱 チェスから武術へ――上達するための、私の意識的学習法

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チェスと太極拳という異なる2つのジャンルで世界チャンピオンになったジョシュ・ウェイツキンさんの書籍。

映画「ボビー・フィッシャーを探して」の主人公で有名な方ですな。若干値段が高いのがネックなものの、内容は科学的根拠に基づいていてかなり参考になります。

6-2 RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる

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RENGE 知識の幅が最強の武器になる

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ビル・ゲイツが絶賛したことで有名な本です。前述したインターリービング学習などについて追及されています。

「練習法」に特化した本ではないものの「巷のわかりやすい教材などが役に立たない理由」がガッツリ学べるので、練習に対する根本的な考え方に革命を起こすことができるのではないかと。

6-3 超一流になるのは才能か努力か?

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超一流になるのは才能か努力か?

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練習系のトピックで必ずと言っていいほど引用される有名な論文[5]の作者アンダース・エリクソン博士の本。

「意識的な練習」など、物事の上達ってそもそもどんなプロセスが必要なの?ということが勉強になります。事例は音楽やスポーツが多めですが、イラストにも応用できるのではないかと。

以上です。

もくじ