「成功したければ成功者から学べ」は正しいのか問題

「成功したけりゃその分野で結果出してる成功者から学べ」と言われたりするわけです。

ネットでよく見かける例だと「YouTuberになりたきゃチャンネル登録者が多いYouTuberに学べ」「ブロガーになりたきゃブログで稼いでる人に学べ」みたいな感じですね。

そういや最近読んでる「残酷すぎる成功法則」という本でも「成功には優れたメンター(指導者)との出会いがめっちゃ大事」という説が紹介されてました。

今回は「成功したければ成功者から学べ」がどれぐらい正しいのか考察しましょう。

1 成功者も意外と「成功した理由」を知らない

結論から言うと「成功者の体験談は参考にすべきものの、僕らが思ってるほど的を射ていないかもしれない」という感じです。

理由は以下の3つが挙げられます。

  1. 成功者は意外と「自分が成功した理由」を分析できてない
  2. 成功者も専門家も意外と間違ったことを信じている
  3. 成功者だろうと専門家だろうと「未来の予測」などできない

もちろん「成功者の体験談はすべて参考にならない」という意味ではないし「専門家の助言は無視しろ」という意味でもないので誤解のないように。

ただ、成功者がよく言う「こうやったから俺は成功した」という体験談や「俺が考えでは未来はこうなる」という予測は我々が思うほど精度高くないんですな。

「近しい人を真似るとモチベーションが上がる」というデータ[1]もありますが、間違った方向にモチベーションが発揮される可能性もあるので、うーん…というところです。

2 「成功者から学べ」が危うい3つの理由

前述した3つの理由を詳しく解説します。

2-1 成功者は意外と「自分が成功した理由」を分析できていない

1つ目の理由として「成功者だとしても自分が成功した理由の特定はむずかしい」ことが挙げられます。

ご存知のとおり、成功は努力より運の要素がデカいので理由の特定はむずかしい[2]んですよ。

たとえば以前紹介した「売れる映画シナリオの法則」のようなプロットで映画を作ったからといって必ずヒットするわけじゃないし、仮にヒットしたとして、日本だから?俳優が〇〇だから?2020年だから?など理由の特定が難しいわけですね。

ウォーレン・バフェットやダニエル・カーネマンも同様のことを申しているので、世界的な成功者といえど自分が成功した理由を分析することはむずかしいんでしょう。

ところが人には「自分の成功は運ではなく努力と思いたいから、もっともらしい理由を後づけする性質(後知恵バイアス・クラスター錯覚)」があるので厄介。

たとえば「成功の秘訣は毎日神社でお祈りすること」「成功の秘訣は部下をぶん殴って服従させること」みたいなむちゃくちゃな理論はその象徴でしょう。

ちなみにバイアスについては「心理学的に創作キャラの性格をリアルにするバイアス知識入門」で詳しく解説してるのでご参照ください。

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2-2 成功者も専門家も意外と間違ったことを信じている

2つ目の理由は「専門家も意外と間違ったことを信じている」ことです。

たとえば「医者や脳科学者でさえデタラメを信じていることが多い」[3][4]ことを示すデータは数多くあります。とくに「自分はちゃんと勉強した」と思ってる人ほどその傾向が強くなる[5]みたいなので厄介ですな(自分も気をつけたい)

理由は「情報もテクノロジーもどんどんアップデートされるから」とのこと。

たとえば昔は良しとされていたことが「じつはよくなかった」と覆ることはよくある話。たとえば成功者がよく口にする「一万時間の法則」などがその象徴でしょう。

[memo title=”一万時間の法則とは target=]

「どんな分野でも一万時間練習すればスペシャリストになれる」という説。

色んな自己啓発本で引用されてきたものの後の研究でガッツリ否定されている。

[/memo]

2-3 成功者だろうと専門家だろうと「未来予測」はできない

3つ目の理由は「成功者や専門家の未来予測精度は素人と変わらない」[5]ということです。

ちなみにここで言う「未来」とは1年以上先の未来のことを指します。たとえば「10年後はエンジニアが不足しプログラマー需要が増す」「アフターコロナの世界経済はこうなる」みたいな予測のことですね。

我々はつい「知識がある人は先の流れを読む能力があるに違いない」と思いがちですが、実際は知識や経験から遠い未来を読むことは不可能だそうで具体的には50%しか的中した試しがないそうな。コイン投げと同じ精度ですね。

仮に未来予測できる専門家がいたとして、そんな「金になる情報」を一般人に容易く教えることはありえないと考えておくべきでしょう。

てことで、こと数年先の未来予測に関しては「成功者や専門家が言うんだからきっとそうなんだろう」というバイアスは正しくない可能性が高いのでご注意あれ。

3 まとめ

結論をいうと「情報の客観性がとても大事」かなと思いました。

たとえば、成功者の個人的感想に終始した意見よりも、サンプル数が多い統計で示されたデータのほうが参考になりそうな気がします。

まぁでも技術的なことはやはり専門家に学んだほうがいい気もするんですよね。たとえばプログラミングを学びたいなら、素人よりプロのプログラマーに教えてもらったほうが上達は速いのでは?と思います。

てことで「成功者に学ぶ」と「できる人に学ぶ」を混同しないよう気をつけたいなと思う次第です。

以上です。