絵が上達しない最大の原因ダニングクルーガー効果の対処法

「絵が上達しない原因はこれだ!」てなことを心理学的に考察することが多い当サイト。

今回は心理学好きにはおなじみの「ダニング・クルーガー効果」というヤバイ心理が、絵の上達だけでなくあらゆる成長の妨げになる理由と、その対処法をご紹介します。

ダニング・クルーガー効果は初心者も経験者ももれなく発症してしまうので厄介なんですよねぇ。

1 ダニング・クルーガー効果とは

ダニング・クルーガー効果とは「能力が低い人ほど自分の能力を高く見積もる」心理のことです。

1999年にデビット・ダニング、ジャスティン・クルーガー両博士の実験※1で発見されたことから、ダニング・クルーガー効果と呼ばれています。

トゲがある言い方をすると「無能すぎて自分の無能さにも気づけない状態」でして、たとえば以下のように残念な発言はその象徴でしょう。

  • 最近のラノベはぜんぶ同じで個性ないわ
  • この程度のイラスト誰でも描けるわな
  • なんでこんなクソ歌が流行るかな
  • 世の中バカばっかりだな

耳が痛くなりますが、ぶっちゃけどんなジャンルでも初心者は必ずこの道をとおります。

たとえば自分も子供の頃「なんでテンテンくんがジャンプで人気なのかかわからん」などと毒を吐いたものです。一度も漫画描いたことないくせにね。

まさに、自分の能力と知識が足りなすぎるせいで「この漫画はなぜ人気なのか」「どこが優れているのか」を分析できていない典型例でしょう。

毒を吐く自分が第三者からどう見られるかも分かっていないのだから目も当てられませんな(自分のことながら笑)

1-1 能力が高い人ほど自分の能力を低く見積もる

ちなみにこの実験では「能力が高い人は自分の能力を低く見積もる」ことも分かっています。

つまり、能力が高い人ほど謙虚で「自分はまだまだ能力が足りないから勉強しなきゃ」と思っているわけですな。ソクラテス、プラトン、ブッダなど多くの賢人が「身の程を知れ」という教えを残していることにも納得です。

1-2 なぜダニング・クルーガー効果は存在するのか

なぜダニング・クルーガー効果が存在するのか?を考察してみましょう。

ダニング・クルーガー効果のような認知の歪みは心理学では「バイアス」と呼ばれていて、進化の過程で必要だったから脳に備わった性質と考えられています。

つまり、ダニング・クルーガー効果にもメリットがあるから脳に備わっているのでは?と考えられるわけですな。バイアスについての詳しい知識は「心理学的に創作キャラの性格をリアルにするバイアス知識入門」をご参照ください。

そのメリットとして有力なのは「能力の差に絶望しなくてすむこと」でしょう。

言わずもがな人間は生まれながらに不平等ですし、家庭環境や才能など努力ではどうしようもないことで能力に差が生じてしまうケースが多いわけです。そんな現実を真正面から全部受け止めてたら簡単にメンタルがぶっ壊れてしまうんですよ。

てことで厄介にも思えるダニング・クルーガー効果ですが、こういったバイアスが備わってるおかげで初心者が「自分にもできるかも!」という夢や希望を抱けるわけなので、必ずしも悪玉というわけではないのです。

1-3 能力がない人ほど「学ばない」

とはいえダニング・クルーガー効果が発動している人は早急に勉強して知識不足を補わないといけない状態に思えます。

ところが、名著「インサイト」によると「能力が低くて知識が足りない人ほど努力やスキルアップを軽視する」特徴があるそうな。

つまり、能力が低い人は自分に能力が足りてないことに気づけないから「スキルアップしなきゃいけない」ことにも気づけないんですよ。

  1. 能力がないから自分に何が足りないか判断できない
  2. スキルアップの重要性を軽視する
  3. 周囲と差が開きますます能力が低くなる

ここで本題に戻りますが、絵が上達しない最大の原因は「自分になにが足りないのか分からないからではないか?」ということが今回の考察です。

2 ダニング・クルーガー効果の対処法

この実験ではダニング・クルーガー効果の対処法も発見されているので紹介します。

2-1 学び続けること

結論からいうと、その対処法は「ひらすら学び続けること」だそうです。

  1. 勉強する
  2. 分からない単語や技術が出てくる
  3. 分からないことを調べるため勉強する
  4. さらに分からないことが増える
  5. 「1」に戻る

ソクラテスの無知の知のように「自分は物事を知らない」ということを知ることが第一歩なわけですな。

2-2 客観力を磨く

しかしダニング・クルーガー効果にかかっていると「勉強の大切さに気づけない」のが難点です。

たとえばダニング教授の実験以外でも、能力が低い人には以下の特徴が確認されています。

  • 知識がない人ほど「自分は詳しい」と思いがち(※1
  • 自分が否定している考え方を肯定する情報は排除してしまう(※2
  • 正しい情報を伝えられると余計に否定反応が強くなる

勉強が必要なのは言うまでもありませんが、脳にはそれを拒否するメカニズムが組み込まれてるわけですな。

これに対策するには「客観力を磨く」といいでしょう。自分が第三者からどう見えているかを知るわけです。

以前「作品のアイデアの誤りを発見できる客観力の磨き方3選」という記事を書いてるので興味があればご参照あれ。

本で学ぶなら前述した「インサイト」がめっちゃおすすめです。

2-3 「プロ」も学び「続ける」ことが必要

ダニング・クルーガー効果は「初心者にありがちな現象」ですが、ダニング教授の別の研究(※2)ではプロもダニング・クルーガー効果にかかる危険性が指摘されています。

「過去に知識を学んだ」という欺瞞で自分の能力を高く見積もってしまうからです。

技術も知識も日進月歩な世の中ですから、つねに進化していかないと周囲に追い抜かれてしまうわけですな。

勉強とスキルアップは永久にし続けないといけないと考えておいたほうがいいかもしれません。

以上です。