自己投資(自分磨き)の成功率を心理学的に高める方法

「現状の改善には自己投資が不可欠だ!」みたいな話をよく聞くわけです。

自己投資とは、いわゆる自分磨きのこと。お金や時間を投じて現状を改善するための何かを行うことを指します。

たとえばイラストレーターになりたい人なら以下のような感じですね。

  • スキルを得るため講座を買う:イラスト講座に申し込む、など
  • 知識を学ぶため本を買う:背景の参考資料を買う、など
  • 機材やガジェットを買う:液晶タブレットやPCを買う、など

言わずもがな、自己投資したからって必ずリターンが得られる保証はないわけですが、どうせ時間やお金を投じるなら少しでも得できる確率を上げたいものです。

てことで今回は「心理学的に自己投資の成功率を高める方法」を考察します。

なにをもって成功とするかは人によると思いますが、とりあえず「収入アップ・キャリアアップ」としましょう。

1 自己投資が必要な理由

まずは「そのそも自己投資って必要なの?」という点について。

結論から言うと、自己投資が必要なことを裏づけるデータがいくつかあるので紹介します。

1-1 専門知識がないと問題解決能力が上がらない

「成功したいジャンルがあるならそのジャンル専門知識やスキルの習得は不可欠」というデータがあります。

たとえば以下のような感じ。

  1. 安定した生産性を保つには専門知識が必要[1]
  2. 良いアイデアを出すには専門知識が必要[2]
  3. 相対的知覚に惑わされないために専門スキルが必要[3]

「1」「2」の理由は「知識がないと自分に何が足りないか気づけないこと」が理由と言われています。詳しくは「ダニング・クルーガー効果対策法」をご参照くださいませ。

3つ目の「相対的知覚」ちょっとややこしいんですが「ボトルに注いだ水の量」「モノの重さ」「時間間隔」みたいに、コロコロ感覚が変わっちゃう対象に惑わされにくくなるということ。

たとえば素人がドラムを叩こうとするとギターやベースの音に引っ張られてリズムが崩れるんですが、ちゃんとドラムのスキルがある人は周囲の音に影響されずにビートを刻める…みたいなかんじです。

1-2 知識がないと「痛い人」に見られやすい

知識がない人は「自分の能力を現実以上に高く見積もる痛い人に見られる」ことが分かっています。

これも原因はダニング・クルーガー効果[4]で、このバイアスにかかってる人は「俺以外、みんな能力が低い」みたいなスタンスになりがちなんですよ。わかりやすく言うと「にわかほどよく批判をする」というアレです。

たとえばサッカーをやってる人はサッカーの難しさを知ってるので選手を批判する機会は少ないけど、素人は難しさがわからないから「なんであんなミスすんの?」みたいな批判をしてしまうわけですな。

こういう態度の人は周囲から見ると痛いのでどんどん人が離れていきますが、残念ながら自分ではその痛さに気づけないし「初心者は誰でも必ず通る道」なのが困ったところ。

前述した研究によると「解決策は知識を学び続けるしかない」とのことなので、やはり自己投資でスキルや知識を磨く必要がありそうです。

1-3 学び続けないと知識は古くなる

「専門家でも常に学び続けてないと知識はすぐに古くなる」ことがわかっています。

これはダニング・クルーガー効果を研究したダニング博士の研究[2]などで確認されている現象で「テクノロジーは年間30%、情報は年間15%時代遅れになる」とのこと。つまり5年前の知識や道具は使い物にならんかもしれないわけですね。

過去に良しとされていたことが数年で覆った事例はくさるほどありますので(体罰はよくなかった、睡眠不足の原因はスマホだった、など)知識や道具は自己投資でアップデートし続けたほうがよさそうです。

2 自己投資の注意点

次に、自己投資の注意点について。

2-1 身の丈に合った自己投資をする

自己投資は「身の丈に合った金額内で」おこなったほうがいいと思います。

怪しいビジネスセミナーなんかでは「借金してでも自己投資する人が成功します!さぁ私のセミナーにローンで申し込みを!」みたいな勧誘が多いですが、ぶっちゃけローン(借金)して自己投資するのは得より損のほうが大きいかなと。

というのも「ローンを組むと、返済のストレスで自己投資のメリットが相殺される」危険性があるんですよ。

たとえば「お金の不安を抱えるとIQが10~14ポイント低下する」と示すデータ[5]」があります。

この低下は「平均的な知能」の人が「知的障害を負った知能」まで低下するのと同レベル。わかりやすく言うと「つねに徹夜してる状態」みたいなもんですね。

言わずもがな、こうなると新しいことを覚える能力は低下するので「高額なプログラミングスクールに通い出したけどまったく覚えられない」みたいな状況になりやすいのでは?と推測できます。

もちろん、どうしても必要な道具(イラストレーターになりたいなら紙やペン)への投資は必要にしても、基本的身の丈に合った価格内での自己投資のほうがいいのではないかと思う次第です。

ちなみに、世界中のミリオネアを対象にした研究によると「ほとんどの金持ちは生涯でローン(借金)の経験がない傾向にある」そうですよ。

2-2 少ないリソースで工夫する方法も考える

無理して道具や機材に自己投資するより「現在の環境で戦う方法はないか?」と考えたほうが上手くいくこともあります。

たとえば名著「SIMPLE RULES」などによると「歴史を買えるようなアイデアは制限された環境から生まれる」という事例が数多く報告されているんですよ。

有名なのはピクサーの「トイ・ストーリー」のエピソードでしょう。「トイ・ストーリー」はおもちゃが部屋の中で冒険する物語ですが、これは当時のCG技術では「人の肌」「木や森などの自然物」を表現するのがむずかしかった制約から生まれたアイデアだそうです。

ローンを組んででも道具や機材を買うべき場面もあるかもしれませんが「良い道具を買ったから良い仕事ができる」とは限りませんので「いまの道具で問題解決するにはどうすればいいか?」と工夫する方法を考えるのも大事なのかもしれません。

もちろん、考えたうえで「やはり新しい機材への投資が必要」という結論になった場合は買ってみるのもいいと思いますが。

2-3 「成功者から学べ」は必ずしも正しくない

ビジネス界隈でよく言われる「知識やスキルは成功者から学べ」理論はじつは危ういと言われています。

詳しくは「「成功したければ成功者から学べ」は正しいのか問題」に書きましたが、専門家も成功者も意外と間違った情報を発信してるケースが多かったり[6][7]することが分かってるんですよ。「名選手が必ずしも名監督になれるとは限らない」ってやつですな。

とくに未来予測の精度は「専門家も素人もチンパンジーも同じ」[8]と言われてるので「アフターコロナの世界では〇〇が流行るので先行投資しましょう」的な広告には気をつけたほうが良さそうです。

もちろん、成功者の言うことが全部間違いと言いたいわけではありませんが、専門家と素人の見解は我々が思ってるほどかけ離れていないことは知っておいて損はないでしょう。

あと「本当に未来予測ができる人がいたとして、その情報が下々に降りてくることはない」ことも考慮したほうがいいと思います。金持ちが儲け話を一般人に広めることなんてありえませんから。

3 おすすめ自己投資先3選

最後にリターンが大きいであろう自己投資先を考察します。

3-1 健康への投資

やはり一番リターンが大きいのは健康への投資でしょう。

ここでいう健康とは以下のように心の健康まで広く含みます。

  • 食事
  • 睡眠
  • ストレス対策
  • 運動

たとえば睡眠不足だと仕事のミス率が15倍も上がる[9]ことや、メンタルが安定してない人は人生で成功しにくい[10]というデータがあります。

まぁ「風邪ひいてるほうが調子いい!」という人はいないでしょうし、仕事するにも勉強するにも健康への投資は第一に考えたほうが良いでしょう。

3-2 時間や手間を減らせるモノへの投資

生産性だけでなく幸福感も高めてくれる[11]のが「時間への投資」です。

たとえば以下のようなことが該当します。

  • 作業の手間を減らせる道具を買う:液晶タブレットなど
  • 2つの手間を1手間にできる道具を買う:乾燥機付き洗濯機など
  • やる必要がない仕事を外注化する:アシスタントに仕事を振るなど

たとえば自分もApple Watchを買ったことで「スマホでタイマーを起動する手間」が減りまして、仕事の効率がかなり上がったなーと思ったり。

Apple Watch Series6で絵の仕事のスピードと生産性が爆上がりした件

「いま行っている作業の時間を1秒でも短縮する方法はないか?」という観点でAmazonを眺めてみれば、いい道具やガジェットが見つかるかもしれませんね。

3-3 知識・スキルへの投資

知識やスキルへの投資もコスパが良い自己投資の筆頭です。

  • 本で知識を学ぶ
  • オンライン講座でスキルを学ぶ

たとえば自分も以前「お絵描き講座パルミー」というオンライン講座を受講しましたが、たった1ヶ月でずいぶん絵が変わったなーと驚いたものです。

あと私の奥さんはUdemyの動画編集講座(1,500円)でAdobe Premiere Proの使い方を学び、1カ月後には動画編集の仕事を獲得できたので講座料金はすぐ回収できました。

詳しくは「2020年に学んで良かった創作スキル講座5選」をご参照ください。

【ゲーム】2020年に学んで良かった創作スキル講座5選【イラスト】

難点は「知識やスキルは時代遅れになるペースがとても速い」ことでしょう。

前述したように知識は年間15%古くなるし、学び続ける姿勢を忘れた人が周囲からどう見られるかはダニング教授の研究[2]のとおり。「一度学んだからそれでいいや」ではなく、常に新しい知識やスキルを追求していくことが大事なんですねぇ。

アメリカの物理学者ジョン・A・ホイーラーが言ったように「知識の島が大きくなるにつれ、無知の海岸も伸びる」わけです。

以上です。参考程度に。